・もっと演技の幅が欲しい…
・人間観察しろ!って言われるけど…
・ものまねヘタだし…
って方に向けて、15年俳優で活動している私が人間観察で見るべきポイントや実践での活用方法を厳選してまとめてみました!
なのでこの記事を読めば…
・演技に活かせる人間観察や分析の仕方がわかる
から、演技に幅が出て結果的にどんな役柄でもこなせちゃうカメレオン俳優への道へ近づけるハズ…!
結論:演技に必要な人間観察はここを見る!
俳優に必要な人間観察は、大きく分けて以下の4つのみ!
ここを重点的に注視しましょう。
・身振り手振り
・表情
・話す内容やトーン
・その言動に至った背景
これらを細かく分析して、自分が演技の時に使えるとリアリティのある演技ができるようになります。
例えば「老人」の配役が回ってきたとしましょう。
一般的に「老人」とはどんな特徴を想像しますか?
・腰が曲がっている?
・杖をついている?
・話したり歩いたりするスピードが遅い?
仮に挙げたこの項目のイメージだけで演技をするとそれは、50点の演技です。
俳優という職業は、見ている視聴者に「分かる!」という共感を与えられればこの点数が上がるのですがそれが100人中1人に共感を得られる演技だと、正直ファンはなかなか増えません。
その共感が、100人中50人以上いわゆる過半数以上が共感を得られるような演技が良い演技だと私は思います。
要は、
・老人はなぜ腰が曲がっているのか?
・杖には体重のどの位の力が加わっているのか?
・1分間に何文字くらいのスピードで話すのか?
ここを掘り下げていくことで、多くの共感が得られて「お爺さんにしか見えなかった」と言われるような演技に近づくことができます。
台本の読解力をあげて人間観察を行うと、より深い演技ができるようになります。
台本の読解力のコツはこちら
それでは、実際に注視するポイントを解説します。
身振り手振り
ボディランゲージともいわれる、いわゆる仕草ですね。
動き方や身構え方、立ち止まっている姿もそうです。
先ほどの「老人の配役が来た俳優」をベースに考えてみましょう。
・立ち/座りの姿や姿勢
・話す際の身振り手振り
立ち/座りの姿や姿勢
「老人」の定義が何歳からかにもよって変わってきますが、現代の60歳くらいの方って意外にまっすぐな姿勢ですよね。
前傾姿勢になってくるのも腰からなのか、肩が丸まっているだけなのかはたまた腰と肩の中間から折れているのか
座っている時にはどこにどのような荷重がかかっているのか
杖は腕の力だけで荷重をかけているのか、そして喋っている時のしぐさはどうなのか
私がタイムスリップモノの舞台を演じた際に、お爺さんの役柄を配役された時は上記のような事を徹底的に観察していました。
公園やカフェ、自宅に駅のホームでの電車の待ち姿までをずっと見ていて共通していた動きやしぐさをコピーできるように、
動画を撮ったりストップウォッチで測ったりして本当に「完コピ」しました。
例を変えても見るところは変わらず、30代のサラリーマンが見たければカフェへ行って近しい人の隣へ座って観察してみたり。
歩幅が何cmくらいなのかまで計測していました。
話す際の身振り手振り
話す時の口の動きがマネできません…
口の動きに関しては、歯とくちびるの間に丸めたティッシュを挟むと近しい動きになりますよ!
上記は老人の口の動きに近しい形をつくるためのちょっとしたテクニックですが、他にも
・男性らしい動き
・女性らしい動き
・若い子の動き
などそれぞれがどんな要素を占めているのかを分析してみることが重要です。
具体的には「スピーチをする社長」という配役だとしたら説得力のあるスピーチをする人は
・どんな目線で
・どんな抑揚で
・伝えたいことをしゃべる時はどんな動きをするのか
より一言で言うと、「シルエットで画像を切り取られたとしても何をしているのか大まかに伝わる」ところまで体現できると演技で武器になります。
表情
演技の初心者にありがちな事ですが、喜怒哀楽をストレートに出す演技をする人がいますが、それは観客にとっては浅く感じてしまいます。
どういう事かと言うと、台本にト書きで笑うと書いてあるから笑ったり泣くと書いてあるから泣く。
…実際の人間ってそうでしょうか?
ト書き:台本に書かれたセリフ以外の登場人物の動作や行動の指示文
人前で成人が声をあげて泣こうとするって相当な事です。
これまで堪えてきた感情が溢れてきて涙が出ようとする事に、恥ずかしかったり涙を見せたくなかったり要は反発しようとするハズなんです。
具体的に私が経験した例をあげると、
役者の旦那さんとお笑い芸人の奥さまの結婚式に呼ばれました。
終始祝いムードで笑いのたえない雰囲気の中で花嫁から父への手紙を読む時間になり、
奥さまは冒頭、「え~私ここで泣かなきゃダメ?」なんて周囲を笑わせていました。
が、読んでいる最中にだんだんと奥さまの涙があふれてきて表情はおどけて皆を笑わせようとしているのに、涙だけぽろぽろと止まらなくなる
といった事がありました。
要は、その相反した表情こそが観客の共感を呼び感動へ繋がります。
話す内容やトーン
役者の用語で「言葉の粒立て」というものがあります。
これは一言で説明すると”伝えたい事を抑揚をつけて話す”という内容です。
これが無い人は一般的に棒読みと言われます。
それでは言葉の粒立てを解説します。
例えば、
俺はコーラが飲みたい
というセリフがあったとします。
これをひとつずつ分解すると、
・俺は
・コーラが
・飲みたい
となります。
それぞれ抑揚をつける箇所で意味が以下のように変わります。
たくさん人がいる中で、「俺は」コーラが飲みたい
たくさん飲み物がある中で、「コーラが」飲みたい
とにかく喉が渇いて仕方ないから、いますぐ「飲みたい」
何かを必死で伝えようとしている人は必ず抑揚があります。
私のおすすめは、街頭演説に行って演説のスピーチを聞いてどんな速度でどこに抑揚をつけているのかを聞いてみる事です。
その言動に至った背景
突然ですが街中で口論をしているカップルを見かけたりしたことはありますか?
台本とは、登場人物の人生の一部分だけが切り取られて物語が走るのですがその前後の背景が語られることはありません。
そこの前後を埋めるのは役者の仕事です。
その具体的な方法はカップルの口論へ至った原因を推理と妄想で埋めるんです。
先日スーパーにでかけた際にこのような会話がありました。
女性「ちょっと、たまには荷物持ってよ」
男性「荷物くらい持てよ、いつも金俺が出してるんだから」
女性「信じられない!」
男性「運転もして疲れているんだよ。」
この会話にはどんな背景があるのでしょうか。
私は以下のように仮説を立ててみました。
・高給だがブラック企業勤め
・趣味は釣りだが家族サービスが優先
・子どもはまだ金銭的に不安でつくれない
・結婚して専業主婦になった
・几帳面で男性が暮らしやすい家を作ろうと必死
・子どもをつくりたい
このような背景があったとしたら、男性の「荷物くらい」や、「運転も」の言い方も変わってきますよね。
女性の「たまには荷物」、そして我慢していた「信じられない」が深くなっていきます。
まとめ
今回は、人間観察の具体的なやり方から活かし方までを解説してきました。
今回解説した事のおさらいは、
・身振り手振り
・表情
・話す内容やトーン
・その言動に至った背景
を細かく観察して、完コピするまで練習するという事です!
これが出来たら、驚くほど演技力が爆上げしますのでぜひ実践してみてくださいね。
他にも俳優に必要なスキルの記事を中心に役立つ記事を書いているので良かったら見ていってくださいね。
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