【初心者でも分かる】演技での感情が乗らない時に俳優ができる対策とは

ステップ2:演技を学ぶ

・演出家に「もっと感情込めろ」って言われるけど…
・反対に「オーバーだから抑えて」って言われるけど…
・なかなかうまく感情が載せられない… 

ってお悩みの方に向けて今回は、俳優歴15年目の私が演技おける感情のノウハウを厳選して初心者にもわかるように記事にしてみました!

なのでこの記事を読めば…

・演技の”感情”が図解でわかる!
・感情の込め方、抑え方がわかる!

から、演技することが数倍楽しくなって俳優としてランクアップするハズ…!!!

この記事の信用性

☑筆者が俳優として活動して15年目
☑自身のワークショップで200名以上演技指導歴あり
☑演出として公演を多数経験あり

感情を込めろ!と言われた時は、感情を出そうとしないこと

この記事の結論を先に言うと「感情を込めろ!」と演出家から指示がきたら、感情を出そうとしないことが正解です。

一見すると、非常に矛盾したように見えてしまいますが演技のおいての核の部分が詰まっていると私は考えているので、細かく解説していきますね。

演劇において、役の感情を出そうとか抑えようとする役者は非常に多いです。

それでは、まず質問です。

普段生活していて「もっと激しく喜ぼう!」とか思いますか?

間違いなく答えはNOだと思います。

台本にかかれている役も同じで、喜怒哀楽をもっと表現しよう!と思って生活を送ってはいないです。

では、どうすれば良いのか。
答えは、設定をもっと深く作りこむことです。

例題:走れメロスを題材に解説

日本人なら誰もが知っている太宰治が書いた、走れメロス(引用:青空文庫)。

物語としては

箇条書きあらすじ

・妹の結婚式を挙げるため町へ買い物にきたメロス
・その町の王様が人間不信で人々を虐殺していることを聞く
・メロスは激怒して王様に「最も恥ずべき悪徳だ!」と言い放つ
・死刑が確定したメロスは、妹の挙式の為親友を人質に三日間の猶予をくれと頼む
・メロスは一睡もせずに走って家に戻り妹の挙式を挙げる
・三日後の日没直前に処刑台の前にすべり込む
・親友と”お互いを1度だけ疑ったこと”を白状する
・1度ずつ頬をなぐり熱い抱擁を交わす
・感動した王様が「自分も仲間に入れてくれ」と懇願した

ざっくりとこんな感じです。

私は正直な話し、中学生の時にこのお話しを習って疑問がたくさんありました。

メロスの視点であげるだけでも、
・自分の刑が決まったのに妹の挙式に行くか?
・親友を人質に差し出せるか?
・王様という位の最高位に激怒できるか?

という疑問がありました。

ですが、演技に携わっていろんな経験をした上で改めて走れメロスを読んでみると、

メロスや、メロスの親友(セリヌンティウス)は想像しているよりもずっと高い正義感の持ち主

という、役の設定を引き上げた読解きができました。
これでメロスが走った理由のつじつまが私の中で合致し、腹の中に落ちた感覚でした。

冒頭の「メロスは激怒した」も王様に言えるほどの激怒だったんですね。

読解力をあげるコツはこちら

感情の段階を知って演技に活かす

一般的によく使われる「喜怒哀楽」。

それ以外にも、人間はさまざまな感情があります。
それらを理解することで演技の表現に幅ができて表現者としての地力を向上させることができます。

1980年に、心理学者であるロバート・プルチック氏は、「Wheel of Emotions」日本では「感情の輪」を提示しました。

引用:Wikipedia

このモデルは、

・8つの基本感情
・16の強弱派生
・基本感情の組み合わせの8つの応用感情

から成り立っています。
表にするとこんな感じです。

8つの基本感情と強弱派生

基本感情強い感情弱い感情
喜び恍惚平穏
信頼感嘆容認
恐れ恐怖心配
驚き驚嘆動揺
悲しみ悲痛憂い
嫌悪憎悪退屈
怒り激怒煩さ
予期警戒興味
8つの基本感情と強弱派生

24の応用感情

応用感情構成反対の感情構成
楽観期待+喜び失望驚き+悲しみ
希望期待+信頼不信驚き+嫌悪
不安期待+恐れ憤慨驚き+怒り
喜び+信頼自責悲しみ+嫌悪
罪悪感喜び+恐れ嫉妬悲しみ+怒り
歓喜喜び+驚き悲観悲しみ+期待
服従信頼+恐れ軽蔑嫌悪+怒り
好奇心信頼+驚き冷笑嫌悪+期待
感傷信頼+悲しみ病的状態嫌悪+喜び
畏敬恐れ+驚き積極性怒り+期待
絶望恐れ+悲しみ誇り怒り+喜び
恐れ+嫌悪優位怒り+信頼

要するに、前の章で書いている走れメロスのメロス役をあなたが演じているとして

「もっと感情を込めろ」

と言われたら、

怒ったきっかけである相手の言動に対する設定を、基本感情の怒りってラインを激怒する所まで作りこめ。
ということです。

表現の強弱は人によってちがう

メロスの役をあなたが配役されたとします。

さらに仮の配役として、こんな配役の場面を考えてみましょう。

仮配役:Aパターン

王様役:あなたの嫌いな人
親友役:あなたの10年来の本当の親友
妹役:あなたの本当の妹

仮配役:Bパターン

王様役:知らない俳優
親友役:知らない俳優
妹役:知らない俳優

そこで質問です。

演じやすい(役として設定に入りやすい)配役はAとB、どちらのパターンですか?

ほとんどの人がAパターンと言うと思います。

なぜなら「知っている人と演技するのは恥ずかしい」
などの前提は俳優自身の感情なのでここでは除外するとして、

もともと知っている人=自分を知らない人よりもさらけ出せる

ケースが多いからです。

・嫌いな人にはもっと怒りをぶつけられますし
・友人の関係が深ければ言葉ひとつとっても信頼がみえて
・実際の妹の為なら走る瞬間も妹を愛情もって思い出すハズ

そして、劇団などの劇団員のみによる公演などをのぞいてほとんどの人が行うのは、Bパターンです。

初舞台などであればなおの事ですね。

我々俳優は、このBパターンでもAパターンのリアルを求めていかなければなりません(後述)。

これらを分解していくと、ヒントが隠れています。

同じことを言われても、違う人なら違う感情が生まれる可能性があります。

どういう事かと言うと、たとえば”最近薄毛が気になっている”という人が「ハゲ!」と罵られたら当然怒りますよね。

この基本感情の先が、「いつ」「どこで」「誰から」「どのように」言われるかによって変わるということです。

極端ではありますが2パターン見てみましょう。

「忙しい時」「社内で」「後輩から」「馬鹿にされながら」

私はこの状況で後輩に「ハゲ!」と言われたら、まずは驚きがあるかと思います。

そして少し間をおいてから徐々に怒りが湧いてきて、「憤慨」の感情になりなんらかのアクションが想像されます。

「談笑しながら」「食事中に」「親友から」「親しみをもって」

この状況で言われると、後輩に忙しい時に馬鹿にされながら言われるパターンとは違い、

親友と食事ができている喜び+そこまで突っ込んでくるか!という驚きで「歓喜」に近い感情で笑ってしまいます。

同じことを言われているのに、別の感情になっていますね。

まとめ

今回は、感情が乗らないときに役者ができる対策を挙げてみました。

重要なポイントをまとめると

感情を出そうとしないこと
日常の生活において”今から怒るぞ!”と思って生活しませんよね。役も同じです。

設定を作りこむこと
コツは、必ずリアクションで感情を移動させること。
その感情が動いたきっかけの言動がかならず台本に隠されています。

演者同志が心を開きあうこと
上にあげたBパターンのように、知らない俳優ばかりでも相手を知って自分から自分をさらけ出すこと。
つまり一言でいうと開き直りが必要です。

相手を知ろうとせずに自分だけで演技をしていたりするとうまく感情がかみ合いませんし、自分をさらけ出さないとフィルターがかかったような演技になります。

必要なのは、俳優が設定をちゃんと信じてそこに居ること
設定さえ作りこんでそれを信じられれば、たとえば相手の言い方や行動が変わったとしても臨機応変に対応ができます。

これらができていれば、確実にいまより何段階も上のリアリティのある感情表現に近づく演技ができます。

他にも、俳優に役立つ情報を書いています。

よかったら見ていってくださいね。

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