・もっと演技を上達させたいけど…
・脚本解釈って難しい…
・セリフ覚えただけじゃダメなの?
とお悩みの方、実は結構多いです。
そこで今回は、年間で100本以上舞台本番公演をした私が台本をふかく読み解く重要なポイントを厳選してまとめてみました!
なのでこの記事を読めば…
・台本を”深く読む”の意味がわかる
・台本から演技へのつなぎ方が理解できる
から、演出家や脚本家の欲しい演技ができて次回も呼ばれる役者になれるハズ…!!
結論:台本の読解力レベルアップのコツは「心理状況」の選択肢を出す事
「心理状況」の選択肢?なんだかよく分からないです…。
大丈夫です!これから初心者でも分かるように噛みくだいて説明しますね!
こんな会話があるとします。
男:ねえ、また洗い物してないじゃん
女:え?今日の当番君のハズだよ?
男:いや、前回疲れたってパスしたよね
女:お願い、明日やるからやっといて
どんな会話を想像されましたか?
答えはどんな解釈でも全部正解です(重要)。
※全然なに言ってるか分からない!って方も大丈夫!
一緒にひとつずつ解決していきましょう。
上記の例だと、たとえば冷め切ったカップルのもう別れそうな会話で表現ができそうですし、
反対に同棲したてのアツアツな会話でお互いにニコニコしながらの会話でも成立しますよね。
他にもカップルではなく、なにか別の機関に拘束された2人で感情が無い会話でもOKです。
つまり、このちいさな感情の選択肢をたくさん考える事が台本を読み込むという事なんです。
ざっくりと分かったところで、台本を深く読み込め!って言われている理由(メリット)から分解して考えていきましょう。
脚本解釈をするメリット
台本を深く読み込むことのメリットは以下のような事が考えられます。
・演出家の要望にすぐ対応できる
・相手と「絡む」演技が出来る
・あなたがこの配役を受ける意味が出る
ひとつずつ解説します。
演出家の要望にすぐ対応できる
先ほどの例題をもとに考えてみましょう。
男:ねえ、また洗い物してないじゃん
女:え?今日の当番君のハズだよ?
男:いや、前回疲れたってパスしたよね
女:お願い、明日やるからやっといて
仮にあなたが冷え切ったカップルのパターン1つしか選択肢を用意していない場合、演出家の作りたいかたちが別のパターンだとすぐさまは対応出来ません。
しかし複数のパターンを用意していることで、
「今この演技プランはどういう設定でやってる?」
と質問をされた時に言語化された意図をはっきり伝える事ができるメリットがあります。
さらに、演出家から「こっちのプランでやってみて」と指示がきても即座に対応する事ができます。
この瞬発力は、演出家からできる役者だと思われて次回使ってもらえる可能性があがります。
相手と「絡む」演技が出来る
絡むってどういう事?演技でふつうに話してますが…
見ているとわかりますが、セリフのかけあいと絡むことは別です。一言でいうと役と役が会話することが大事です。
一般的に「セリフが棒読みだな~」って言われる人の特徴って、相手にセリフがかかっていないんです。
もっと詳しく言うと、さっきの会話の例をだすと男は冷めたカップルの演技をしているのに女はラブラブなカップルの演技をしているんです。
日常生活でそんな会話って成立しませんよね。
要は、そこが理解できて選択肢を用意している役者は相手がどんな演技プランで来ても相手のアクションを聞いてリアクションで演技ができます。
そうなるとお互いの芝居が絡みだして、見る側も違和感が消えて”自然な演技”へと昇華します。
あなたがこの配役を受ける意味が出る
解釈が深くなれば演技も大きくかわります。
なぜなら、そこにあなたの人生経験がのったあなただけのオリジナリティを載せることができるからです。
逆に台本を読み込んでいないと(選択肢がひとつのみだと)セリフのしゃべり方が自分の中で決まってしまい誰にでもできる演技になってしまいます。
具体的な台本の深い読み込み方
私は正直、専門学校とかでよくやる”役のプロフィールシートを作ろう”みたいな作業はハッキリ言うとずっと後回しでいい思っています。
それは、実際に観客として見ている時にそこまで深堀りされた役のバックボーンが見えるのって自分ひとりの役だけでは表現できない場所の方が多いからです。
まずは一人でもできる、料理でいう仕込みの部分。読み込み方。
私が実際に行っている台本の読み込み方は以下の3つの方法をやっています。
・アプリツール(無料)を使う
・サブテキストを読む
・直前の背景を考える
それぞれ見ていきます。
アプリツール(無料)を使う
私がよくつかうツールはXMINDです。
iPhoneやPCなどでも使用ができるアプリです。百聞は一見に如かずというので実際の画面はこんな感じです。
こんな風に、ひとつの発言に対していろんな選択肢を整理していく事ができます。
頭の中で考えるだけだとどんどん複雑化して混乱してしまうので、文字でアウトプットして整理が可能です。
ひとつのトピックについてもっとこまかく深堀りできるので、台本を通して一貫性のある役作りができることもメリットです。
サブテキストを読む
サブテキストって、わかりやすくいうと台本にある言葉の裏の意味です。
具体的にはこんな感じです。
①「嫌い」➡本当は好き
②「大丈夫」➡本当は大丈夫じゃない
③「なんでまた遅刻したの?」➡深層心理は怒り
上記の①や②は比較的分かりやすいですが、③はちょっとした応用編です。
言葉通りで読むと、繰り返しの遅刻に疑問の感情ともとれますがその心情としては「いい加減にしてくれよ」という怒りとしても読む事ができます。
つまり単なる「疑問」でセリフを発するよりも怒りを抑えた上で「疑問」に変えたセリフになる事で演技に深みが出てきます。
直前の背景を考える
サブテキストを読む事と組み合わせることでより深くできるのですが、
先ほどの例として考えてみましょう。こんなセリフがあるとします。
すみません。遅刻しました。
なんでまた遅刻したの?
例えば、後輩くんがいつもだらけて仕事もサボってばかりだと先輩さんの感情は「怒り」を隠した「疑問」。
ただ、後輩くんが仕事はかなりできるのに遅刻グセだけは治らない。普段はかわいい後輩。
その場合は「怒り」の感情は少し下がって、「失望」か「愛情」などが加わります。
つまり、大事なのはシーンごとではなくて物語を一貫して役が選ぶ選択肢を見つけることがコツです。
全ての台本があてはまるとは限らない
ここまで見てもらった方には「なんだよ」と思われてしまいそうな事ですが、
上に書いたことは全部が全部あてはまる訳ではありません。
中には感情や設定の一貫性の無い役がくることもありますし、
残念ながら台本自体につじつまが合わない本もあるのは事実です。
だから良い台本や活字をたくさん読む事が解釈能力をあげる一番のきっかけと言えます。
良い台本の見分け方は全ての役が目的に向かって動いているかどうかで見極めることができます。
まとめ
今回は台本の読み込み方についてご紹介しました。
セリフを覚えるだけで台本を手放していた方は、もう一度台本を手に取ってみませんか?
・アプリツール(無料)を使う
・サブテキストを読む
・直前の背景を考える
だけで役の感情の選択肢が増えるはずです。
演技をまだまだ上達させたい!って方はこちらの記事もおすすめです。
他にも役に立つ記事を書いているのでよかったらみていってくださいね。
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